ロックンロールの宝石箱

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雑記 V系あるある言いたい<鴉と誤解編>

 V系あるある言いたい<鴉と誤解編>

HM/HRとかV系の世界観って、踏襲された様式美ってのがあるんですよ。

当然、その歌詞にも、様式美が貫かれていて、単語のチョイスに、俗にいう「あるある」があるわけですな。

 俺自身、V系ロックの「歌詞あるある」について、こういうのあるよなあ、って思ってたんですわ。

XJAPAN、BUCK-TICKあたりが源流と言われる時代から現在まで、V系をかれこれ30年聴き続けてきました。

いざこの雑記を書くにあたって自分の記憶をたどったところ、意外と誤解が多かったことに気づいたわけです。

 

『歌詞に鳥、特にカラスが登場しがち』の誤解、すべて誤解だ

 自分の居場所がない日常から逃避したいV系諸氏にとって、鳥は憧れの存在だ。

よって、「鳥」「翼・羽」というキーワードは、実際多く使用されている。

ただ、他の音楽ジャンルでも「鳥」「翼・羽」というワードは結構使われているだろうと推測される。

ならば、中二病チックで死を連想させる漆黒の鳥「カラス」は?

…実は意外と少ない。

 

思いつくところで言えば、linch.、蜉蝣、the gazette、DIR EN GRAY、己龍、plastic tree、カリ≠ガリがタイトルや歌詞でこの鳥を取り上げているのですが………

GLAYラルクルナシー、X、BUCK-TICKといった活動が長く、作品数が多いバンドでも見かけることができない鳥であったことが判明しました。

SADIEやMERRY GO ROUND、黒夢、といった、死をモチーフにすることが多いバンドでもカラスは出てこない…

V系=カラス出しがち、は俺の誤解だったようです。

 

で、カラスを登場させていないV系バンドで、特に意外だったのが、ムック。

ムックの歌詞はけっこう生き物が多く登場(鳥、犬、金魚、コオロギ…)するんですが、意外にも、カラスが歌詞に出てくることはないんですよ(Vo.の達瑯はカラスっていうバンドやってたりしますがね…)。

 

ちなみに、水槽などで飼われる不自由の象徴として「魚」もモチーフで使われがちだったりするのかな?と思いついたんですが、それほどでもない。

思いつくところでは、ムック「蘭鋳」、ルアージュ「エンジェルフィッシュの涙」、カリ≠ガリ「マグロ」…魚の種類はバラエティに富んでますが、やはり不自由な生き物の象徴として描かれがちですな。

 

 …たったこれっぽっちの記事なんですが、書く作業より、思い出す作業の方に時間がかかって、楽しさ半分・苦しさ半分といったところです。

人間50も近くなると手の方も記憶の方も衰えてくるもんですな…

雑記のタイトルに「V系あるある言いたい」って謳ってるのに、ぜんぜん「あるある」になっていない…

 

…というわけで、俺自身、V系あるあるについては語り切れておりません。

近日改めて「天使と地の底編」にて語らせていただきたく存じます。

 

マイフェイバリットナンバー(動物が登場するV系の曲編)

 

ムック「雨のオーケストラ」:『濡れてしぼんだネコ 君に重ねて』『木陰の鳥達 空を待ちわびてる 生憎僕はこの雨、嫌じゃない』…達瑯、天才!中二病の鬱っぽい世界観で詩を書かせたらこの業界で五指に入る文才。「濡れてしぼんだネコ」ってフレーズは思いつかないよなあ。で、また、曲もいいんだよ。ムックの曲で一番好きです。

 

大祐と黒の隠者達「嘘と迷路」:これについては語るだけで悲しくなる。蜉蝣のVo.大祐のラストアルバム「漆黒の光」に収録。自殺のため夭折してしまう大祐の未完成アルバムを所縁のあるミュージシャンたちが完成させるという逸話も泣かせる。間違いなく当時のV系ロックの到達点であり、V系ロック史を語るには外せない名盤。『真実を叫べば 鴉の群れに追われ羽根を奪われる』「カラス」を「鴉」と表記しているのは流石、大祐。

 

BUCK-TICK「love letter」:彼らの大傑作アルバムの1つ「six/nine」に収録。ギタリスト今井寿の「らしさ」が曲と歌詞に反映されている。囁き絞り出すように歌う櫻井敦司と重いギターリフがハマる。プロモの映像もカッコイイ。『i wanna be like your dog』犬が歌詞に登場。

 

ルアージュ「angel-fishの涙」:vo.kazushiのビブラートを効かせた歌い方が泣かすんですよ。『幾億の涙をそそいで さかなになって 幾億の傷を癒して』このテの泣かせ系をやらせると抜群にハマるんだよなあ、このバンド。才能ある人たちが集まってたバンドだけど活動休止しちゃったね。vo.kazushiのエヴァンゲリオン愛が、痛い(笑)。

 

hide with Spread Beaverピンクスパイダー」:V系ロックのスタンダード。これを知らずにV系を語るとかありえない。大天才hideの代表曲。たくさんのバンドがカバーしてるけど、この曲については本家を超えられない。生きていたら今どんな曲を聴かせてくれただろうか。毎年5月が来ると、彼が亡くなった年齢と自分の年齢を重ね合わせて、自分が歳をとったことをかみしめるんですよ。ホント、いろんな意味で切ない。