B'Z ビーズ
好んで泥水をすすって巨大になったロックモンスター
なんか、B’Zって商業ロックの申し子みたいに言われてるじゃない。
ここで言われる「商業ロック」って、悪口だよね。
アート志向の高いロックファンからそういう陰口って耳にすることが多い。
「ロックたるもの大衆に迎合せずアートとして最先端を切り拓かなくてはならん」
みたいなことなのかしら。
…まあ、分からなくはない。
俺たちロックファンは、常に新しいものを求めてるし。
でも俺なんかはむしろ、消費者に向けてマーケティングをきっちりやり込んでるアーティストの方を評価するけどね。
特にB’Zは、その才能にとっても長けている。ロックの分野じゃなくても成功を収められる器量を持ってる。
自分たちを売り込むために、当時流行していたユーロビート調の曲を作って、ディスコに営業をかけまくって、彼らの当時の名刺代わりにもなった初期の代表曲「バッドコミュニケーション」の逸話はあまりにも有名だ。
知恵を絞り、自分で汗をかき、泥臭いのし上がり方をしてるんだけど、それだけじゃないんだよね。
まずマーケーティングの才能が優秀。それを具現化できる才能とテクニック。長く続けられる人間関係の構築。
能力と努力と方向性(ビジョン)が見事に掛け算されてる。
苦労をしているのは間違いないけど、泥水をすするのもこの人たち、好んでやってるよね、って。
こういうのすごく好きだなあ。
売れなくて、グズグズ言ってるミュージシャンとの差がここだよね。
そういうミュージシャンって運だのみの大バクチにすがってるだけだよ。
なんかアーティストの幻想ってのを、ロックファンもミュージシャンも抱いてるんだろうね。
売れなくていいのならば、グズグズ言うはずないもん。純粋に音楽を楽しんでるだけの人たちなら。
ロックスターになりたいならば、自己プロデュースやらマーケティングは必須ってのが、俺の持論だ。
…と、ここまで語ってきたけど!
俺ね、松本孝弘の作る曲も稲葉浩志の書く歌詞も、大・大・大好きなのよ!
今までの人生で、彼らの曲に背中も押してもらったねえ。
マイフェイバリットナンバー
「衝動」:稲葉浩志の書くラブソングは、女々しくて情けない内容のものが多いが、この曲は前向きなラブソングとなっている。松本孝弘の疾走感のある曲とギタープレイがさらにその前向きさに説得力を与えている。
「グローリーデイズ」:稲葉浩志と松本孝弘の絆について描かれた曲。ラブソングは情けない内容のものが多いが、男同士の友情や絆、夢と信念を描かせると抜群の力を発揮する。彼らの人間性や関係性がそうさせるのだろう。
「スプラッシュ」:松本孝弘の色気がビンビンに伝わるロックンロールナンバー。本来ロックが持っているはずだった、背徳感やバイオレンスが詰まっている。ギターリフがメチャメチャかっこいい。
「THE LOOSE」:「ギリギリチョップ」なんかもこの系譜の曲なんだが、人生の袋小路にしょっちゅう迷い込む自分が、周囲の常識論に小突かれてさらに焦るんだけど、逆ギレして「いいじゃねえか!勝手にやらせてくれよ!」てなるやつ。松本孝弘の早くてグルーブ感のある曲が、歌詞をよりコミカルに料理する。B’Zの真骨頂。
「RUN」:B’Zにおいて、夢と信念を描く曲の代表格のナンバー。センチメンタルで速い曲に乗せて、夢・不安・信念・覚悟を歌う。
夢を追うために覚悟を決めた人生は、小さな希望の光を目指す不安な旅だが、信念と絆で進んでいくしかないのだ。「YES、自分は間違ってない」…ってこれはプレジャーの歌詞だね(笑)。
彼らの矜持が詰め込まれた曲でファン人気も高いが、俺自身もこの曲に支えられることが多い。